文章を書くときに大切な要素として「起承転結」というものがあります。
これは、日本では「文章を構成する要素」として、学校でも習う場面があるかと思われます。
「小説を書く」ことを考える時、多くの人が思い浮かぶのがこの「起承転結」ではないでしょうか。
いわゆる物語を書くときに意識するべきこととして、色々な場面でこの「起承転結」というものが叫ばれます。
中には論文などの公的な文章においても、この起承転結が重要視されることもあり、日本における起承転結の重要性は非常に高いものがあるのではないでしょうか。
この記事では、「起承転結」について解説させていただきます。
最後までご覧いただければ幸いです。
起承転結とは?
まず起承転結とはどのような意味なのでしょうか。
ここではgoo辞書様より、「三省堂・新明解四字熟語辞典」から、下記の内容を引用させていただきます。
漢詩の四句からなる絶句における構成法の一つ。八句からなる律詩においても二句ずつまとめて絶句に準じる。第一句(起句)でうたい起こし、第二句(承句)でこれを受けて発展させ、第三句(転句)で場面や視点を転じ、第四句(結句)でこれらを受けつつ全体をしめくくる。また、文章や話などで全体を秩序正しくまとめる構成の意として用いられる。さらに広く物事の順序、展開のしかた、構想にも用いられる。
上記の内容から、文章や話しそのものの構成に関するフォーマットとして、現在は使われています。
元々は「漢詩」という分野から使われるようになったそうです。
現在では、教育の現場では「文章構成」としては代表的なものとなっており、一般的に「文章を書く」ということを考える場合、この起承転結が頭に浮かぶ人もいるのではないでしょうか。
それでは上記の内容から振り返って、一般的に使われる起承転結の示す意味についてまとめましょう。
- 起 ~ これから伝えるべき状況のこと
- 承 ~ 実際に起ったことの具体的な内容を深堀りすること
- 転 ~ 起こった出来事に対しての転換のこと
- 結 ~ 一連の話の結末のこと
起承転結はいうなれば、「まとまりのある文章を書くうえで円滑に文章構成をすることができる形式」の一つです。
上記の内容は、文章だけに限らず、物語を作るうえで大切な要素となります。
特に「転・結」の部分は物語における大きな転換点の一つであり、物語を発展させるための重要な要素の一つとなります。
そのため、この起承転結は、「文章」だけではなく、「小説」においても大切な要素であると言えるでしょう。
文章における起承転結の意味
それでは、具体的に文章における「起承転結」とはどういうことなのでしょうか。
これを考える前に、「なんの目的で文章を書くのか」ということが大切になってきます。
日常生活において文章を書くということは、意外に頻繁にあるかもしれませんし、ないかもしれません。その人の仕事の状況やライフスタイルから、「文章」というものに全く触れない人もいるでしょう。
日常的に文章を書く場合、具体的に下記のようなものが考えられます。
仕事などで特定の記録やメールなどを使用する
日常で合った出来事を個人的な記録として日記に残す
友人や家族と連絡を取るため、メールで文章を打ち込む
これらが、日常的によく起こる「文章を書くタイミング」といえるでしょう。これ以外だと、筆者のように「趣味で小説を書いている」や「ブログを書いている」などになるかもしれません。
上記の内容は、実はとある共通点があります。
それは、「起こったことや感じたことを自分以外の誰かに伝える」という目的があることです。
いわば文章は、「情報伝達の手段の一つ」であり、それを円滑に進めるために「起承転結」はあります。
振り返って、起承転結のことを考えると、下記のように考えることができます。
- 起 ~ 伝えたい情報の起点となる情報の記載
- 承 ~ 起点となる情報をさらに詳細に記載すること
- 転 ~ 情報の変化や転換についての記載
- 結 ~ 伝えたいことの結末や思ったことの記載
上記のような内容になることでしょう。
このように捉えると、文章における起承転結が言われるのもうなづけるかもしれません。
起承転結は、話の展開におけるメリハリにもなります。
どうしても相手に何かを伝えるという、情報伝達というものだけになれば、内容のメリハリがつかず、平坦になってしまいます。
そのようなことを避けるためにも、文章における起承転結によって、メリハリをつけて、相手により立体的に情報を伝達することが期待できるでしょう。
小説における起承転結
文章における基本的な「起承転結」の意味について理解したところで、早速「小説における起承転結とは」を考えていきます。
小説における起承転結は、「ストーリー」のことを示す場合が多いです。
小説における「ストーリー」は最重要項目であるといっても過言ではありません。
文字のみで作品として成立させるため、一定の筋立った物語というものが大切になるからです。
当然ですが小説には、「ストーリー」以外にも様々な評価点であります。
文体やメッセージ性、芸術性などが挙げられますが、ストーリーはその主柱であると表現ができます。
そんな小説における「起承転結」は、具体的に下記のような利点があると言えます。
- 物語を作る際にいくつかの段階に分けて考える事ができる
- 物語の起伏のある流れを作ることができる
- 物語にメリハリを作り、飽きさせない展開を作ることができる
起承転結はいわば、「ストーリー」を考えるうえで骨子であると言えます。
小説は、漫画やゲームなど他の媒体と比べると遥かに「読み手の想像力と読解力」を必要とするものです。
そのため、小説は他のものとは比較にならないほど、「世界観を丁寧に説明する必要がある」ものです。
なにせ文字だけですので、「この作品の世界観はどうなのか?」や「どのようなキャラクターなのか?」という部分を大前提に始めなければなりません。
このようなことから、小説はより、相手に伝わるような物語づくりが求められます。
そのような部分を考えると、起承転結にはそれぞれ下記のような構成が求められると言えます。
- 起 ~ 作品の世界観やキャラクターを明示する
- 承 ~ 物語における一本のストーリーを明示する
- 転 ~ ストーリーにおける転換点を明示する
- 結 ~ キャラクターとストーリーの結びや終着点を明示する
起承転結には具体的に上記のような一つの流れを組み立てる事ができる、とても有用かつ効果的な考え方と言えるかもしれません。
起承転結は万能なものなのか?
これまで「起承転結は万能なものである」というような書き方をしてきたのですが、この起承転結は本当に万能であって、どんな状況でも活用することができるものなのでしょうか?
もちろん、これに対しては諸説あるかもしれませんが、そもそも起承転結は「順序よく相手に何かを伝えること」に強みがあるからです。
ここまでの記事のなかで、「起承転結は多くのことに使うことができる」ということを中心に書いているのですが、具体的に下記のようなところでマイナスな要素があります。
- 説明順序が固定化されるため、冗長になる可能性がある
- 結論が最後になってしまい、結末に至るまでに読み手が離脱する可能性がある
- 重要な部分を伝えるのに遅れが生じる場合がある
起承転結は確かに作品のクオリティや、物事を手順通りに進行するということは得意としています。
しかし例えば、「多くの作品のなかで目に触れてもらいたい」というような目的があったとします。
そうなれば、「自分の作品以外にも大勢のライバルがいる」状態になります。
その状態で、丁寧に起承転結を描いて、最終的な伝えたい部分を最後に持ってくると、「集客」という面ではマイナスになるかもしれません。
そのようなことから、起承転結は「正しいが、情報を伝える速度が遅い」という特徴があります。
そのため、見出しにある「起承転結は万能なものか?」というものの答えは、「用途と目的による」と表現するのが正しいのかもしれません。
まとめ
今回は起承転結についてまとめさせていただきました。
下記のようにまとめさせていただきます。
起承転結は、小説を書くうえでも、文章を書くうえでも色々なものに使うことができます。
しかしながら、起承転結は良くも悪くも、「丁寧」というものがどう活かされるかということになるかと思われます。
あくまでもその用途や目的で話は変わってくるかと思われのですが、それでも「基本」を学ぶといううえで大切な要素になると筆者は感じています。
正しい知識と技術を学び、発展があるかと思うので、まずは「正しい起承転結で書くことができるか」を一つの軸として据えるのは、大切かと思います。